「建築主」は建築基準法上の定義では、「建築物に関する工事の請負契約の注文者。又は請負契約によらないで自らその工事をする者」とされており、一般的な言葉では建て主や施主を指します。住宅やビルの建築工事や内装工事など、建築物に関する工事を注文する発注者が建築主となります。

この記事では、建築主の建築基準法での定義や、テナント入居の際の内装工事の建築主はオーナーになるかテナント側になるのかなどを解説しています。

また、建築物については、「建築物とは?」にて建築基準法上の定義などを解説しています。
※2020.6.26改訂(2013.10.28公開)

建築主の建築基準法上の定義

建築基準法上の「建築主」(一般的な言葉で言うと建て主)という言葉の定義は、どうなっているのでしょうか。用語の定義は建築基準法第二条。条文を見てみましょう。

建築主
建築物に関する工事の請負契約の注文者。又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

前者はイメージしやすいと思います。一般的に「注文住宅」と言われる住宅の工事を発注すれば、その人は建築主となります。後者はセルフビルドで行う場合で、施工者=建築主の場合を想定しています。

ビルのテナント工事における建築主はだれになるか

では、ビルに入居するテナント等が内装工事を発注する場合は、建築主は誰になるのでしょうか?

この場合は条文の定義通りに考えれば、内装工事とはいえ、「建築物に関する工事」なので、その工事の発注者であるテナントである、とする考え方が一般的です。

しかし、確認申請の提出先である行政機関の特定行政庁によっては、ビルオーナーがテナントの工事の内容も全て把握しておかななければならず、テナント工事の内容についても建築主はビルオーナーである、とするところもあるので要注意です。

内装工事においてもビルオーナーが建築主と解釈される背景には、避難階段や敷地内通路等、確かに避難上重要な部分は共用部であることが多く、建物全体の安全性に関しては、いざ問題が起こった場合に、オーナーとテナントで責任を分けることによる弊害が多いから、という考えからでしょう。

テナント工事で用途変更の確認申請が必要な場合には要注意です。特定行政庁に、その工事の建築主が誰であるかを先に確認しておいた方が良いでしょう。テナント入居の際の用途変更については、物件探しからサポートし、物販店舗から保育施設への用途変更を実現した武蔵野市の事例にて詳しく解説しています。

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