特定行政庁とは、建築基準法で定められた建築確認などを行う行政機関で、建築主事を置く市町村など地方公共団体の長を指します。

この記事では特定行政庁の建築基準法上の定義や限定行政庁との違いを解説しています。建築主事や建築基準適合判定資格者について知りたい方は、建築主事とは?建築基準適合判定資格者との違いをあわせてお読みください。
※2021.1.4改訂(2013.10.28公開)

特定行政庁とは?建築基準法での定義

特定行政庁とは、建築確認や違反建築物に対する是正命令などを行う行政機関です。

建築主事を置く市町村などの地方公共団体の長が特定行政庁となります。市町村に建築主事がいない場合などは都道府県知事が特定行政庁となります。

特定行政庁は、建築基準法では用語の定義の第二条の三十五号に規定されています。

特定行政庁
建築主事を置く市町村の区域については当該市町村の長をいい、その他の市町村の区域については都道府県知事をいう。ただし、第九十七条の二第一項又は第九十七条の三第一項の規定により建築主事を置く市町村の区域内の政令で定める建築物については、都道府県知事とする。

最初の一文はいいと思います。文言そのままです。

二文目の但し書きの「第九十七条の二第一項、及び第九十七条の三第一項」とは、それぞれ政令指定都市以外の市町村の場合、東京都の特別区(23区内)の場合を示しており、これらは「限定行政庁」と呼ばれます。

特定行政庁と限定行政庁の違い

政令で定める以上の建築物、工作物は都道府県知事が特定行政庁となるため、都道府県の建築主事の管轄になります。もちろん最近は指定確認審査機関に確認申請を提出場合がほとんどかと思いますが、確認申請の前に提出が必要な建築基準関係規定である条例の手続きや、地区計画等は特定行政庁、あるいは限定行政庁の管轄になりますので、申請の前には必ず管轄の行政庁を確認しておく必要があります。

限定行政庁が東京都の特別区(23区内)の場合、1万m2以上とかなり大規模なものからが都の管轄になりますが、建築主事を置かない限定行政庁である市町村の場合には、四号建築物以外の建築物は全て都道府県の管轄になります。そのため、普段住宅のように4号物件しか扱っていない設計事務所だと特定行政庁物件の申請を出す場合にとまどうことがあります。

申請業務は専門性が高いため、都道府県は建築指導事務所などと呼ばれる外部団体に権限を移管している場合があり、それらは周辺地域を取りまとめて非常に大規模な地域を統括していることが多いので、申請の提出先がどこかを確認するだけで、苦労することがあります。

四号以外の建築物を地方で建築する場合には、特定行政庁がどこなのかを早めに確認しておくと良いでしょう。

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