主要構造部とは建築基準法で定義される、防火や安全、衛生上重要な建物の部位を示す用語で、具体的には、壁、柱、床、はり、屋根、階段を指します。また、建物を耐火建築物とする際には、主要構造部を耐火構造としなければならないなど、建物の防火上重要な用語と言えます。

この記事では、主要構造部の建築基準法における定義や用語解説、混同されやすい用語である構造耐力上主要な部分との違いなどについて紹介しています。

用途変更や適法改修に関する具体的なサポート内容については、ビルオーナーの方はサービス紹介ページ「建物の保有・運営者向け 既存建物の用途変更・適法改修支援」を、テナント事業者の方はサービス紹介ページ「テナント事業者向け 用途変更・適法改修支援」をあわせてご覧ください。

※2024.12.25改訂(2013.10.28公開)

主要構造部の建築基準法上の定義

「主要構造部」という言葉は建築基準法に定義されている言葉です。ですが、この言葉も建築物とは?建築基準法上の定義や解釈に書いた建築物の定義と同じ様に、一般的なイメージと実際の意味が異なっています。

条文を見てみましょう。用語の定義は建築基準法第二条の五に規定されています。

主要構造部
壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、附け柱、揚げ床、最下階の床、廻り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。

「壁、柱、床、はり」まではいいですが、「屋根」や「階段」が含まれることは意外に思われるのではないでしょうか。また、「建築物の構造上~」以降は何を言っているのだろう?という感じではないでしょうか。「主要構造部」という言葉の定義の話なのに、瑣末な部分への言及になっているのじゃないだろうか?と思われるかもしれません。

これは、建築基準法上の「構造」という言葉の定義と一般的な感覚の「構造」という言葉の違いによるものです。次の項で詳しく解説します。

主要構造部と構造耐力上主要な部分の違い

建築基準法の用語で、主要構造部と構造耐力上主要な部分の2つは、意味が混同されやすいと言えます。

通常、建物の「構造」というと地震や風圧、建物の自重などに耐える部分というイメージになると思います。この意味で使われる「構造」上重要な部分に該当する用語は、建築基準法では構造耐力上主要な部分として別に定義されています。

では、建築基準法上の「構造」とはどういう意味なのでしょうか?それは、用語の定義としては条文上に無いものの、運用のされ方から判断すれば、安全、防火及び衛生に関わる最も重要な構成部分であろうということが推測されます。

なぜなら、建築基準法施行令百四十四条の3に「安全上、防火上、衛生上重要な部分」というものがあり、(これは法三十七条の「建築材料の品質」という建築物を構成する材料について規定する内容なのですが)その内容は、「~で主要構造部以外のもの」となっているものが多いのです。

つまり、主要構造部は他の法文の中で、さらに厳しい規定がされているため、それに準ずる部分を「安全上、防火上、衛生上重要な部分」として定め、もれがないように拾おうとしているのです。そのため、主要構造部は「安全上、防火上、衛生上重要な部分」より、さらに上位な部分と考えられるのです。

建物の法律家・建築再構企画は、建築主(ビルオーナーやテナント事業者)向けに無料相談や適法化に向けた各種サポートや建築士向けの法規設計サポートを行っています。建物に係わる関連法規の調査や各種診断、改修や用途変更に必要な手続きを行っています。既存建物の用途変更・ガイドライン調査・構造調査・適法化に向けた各種改修などにお困りの方は、お問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。

主要構造部に関する事例・リンク

主要構造部に関連する記事や関連するサービスページ、事例などを以下にまとめています。

サービス紹介ページ「建物の保有・運営者向け 既存建物の用途変更・適法改修支援」

ビルオーナー向けに、既存建物の用途変更や適法改修に関する各種サポート内容について紹介しているページです。用途変更や適法改修の設計・コンサルティング業務での成果物を交えたサポート内容、導入検討や稟議の添付資料として役立つダウンロード資料、用途変更や適法改修に関する事例一覧などをご覧いただけます。

サービス紹介ページ「テナント事業者向け 用途変更・適法改修支援」

テナント事業者向けに、テナントビルなどに入居する際に発生する用途変更や適法改修に関するサービスについて紹介しているページです。用途変更、適法改修支援、ガイドライン調査、新規出店支援など、各サポートの流れや内容を実際の成果物を交えて具体的に紹介しています。

事例紹介「用途変更・適法改修事例一覧ページ」

建築再構企画が支援した用途変更やガイドライン調査、適法改修などの事例を一覧形式で紹介しているページです。用途別や各種サービス毎に検索して、個別の事例を確認することも可能です。

あわせて読みたい参考記事

構造耐力上主要な部分とは?主要構造部との違い
建築物とは?建築基準法上の定義や解釈
完了検査・検査済証とは?
新築の確認申請-確認申請とは?(1)
改修の確認申請(大規模の修繕・模様替え)-確認申請とは?(2)
増築の確認申請-確認申請とは?(3)
用途変更の確認申請-確認申請とは?(4)