建築主事とは、確認申請や完了検査の審査を行う公的な役職です。

民間の確認検査機関にも建築主事と同じように確認申請や完了検査の審査を行う役職があり、建築基準適合判定資格者と呼ばれます。

この記事では建築主事の役割や、どのような人が建築主事になるか、民間の建築基準適合判定資格者との違いなどを解説しています。

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※2020.5.14改訂(2013.10.28公開)

建築主事とは確認申請や完了検査の審査を行う役職です

確認申請や完了検査の審査を行う建築主事とはどういう役職なのでしょうか?順を追って見てみましょう。

まず建築基準法の第4条には「建築主事」という項目があります。1項、2項、5項を引用してみましょう。

建築主事
1.政令で指定する人口二十五万以上の市は、その長の指揮監督の下に、第六条第一項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置かなければならない。

2.市町村(前項の市を除く。)は、その長の指揮監督の下に、第六条第一項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置くことができる。

5.都道府県は、都道府県知事の指揮監督の下に、第一項又は第二項の規定によつて建築主事を置いた市町村(第九十七条の二を除 き、以下「建築主事を置く市町 村」という。)の区域外における建築物に係る第六条第一項の規定による確認に関する事務をつかさどらせるために、建築主事を置かなければならない。

要約すると、政令指定都市では建築主事を置かねばならず、その他の市町村は建築主事を置くかどうかは任意であり、置かない市町村をフォローするために都道府県には建築主事を置かなければならない。ということになっています。

建築主事はどのような人がなるか

肝心の建築主事はどういう役職かというと、第6項。

第一項、第二項及び前項の建築主事は、市町村又は都道府県の職員で第七十七条の五十八第一項の登録を受けた者のうちから、それぞれ市町村の長又は都道府県知事が命ずる。

では、第七十七条の五十八第一項の内容を見てみましょう。
建築基準適合判定資格者検定に合格した者は、国土交通大臣の登録を受けることができる。

それでは、建築基準適合判定資格者検定とは何か?というと法第五条一項に「建築士の設計に係る建築物が第六条第一項の建築基準関係規定に適合するかどうか を判定するために必要な知識及び経験について行う」とされ、また第三項、及び施行令第二条の三には検定の受験資格が定められていて、一級建築士試験に合格したもので、

・建築審査会の委員として行う業務
・四年制大学の教授又は准教授として建築に関する教育又は研究業務
・その他審査や検査を行う業務で国土交通大臣が認めたもの

のいずれかの業務について、2年以上の実務経験を有するものとなっています。
随分遠回りさせられた気もしますが、建築主事という役職がどういったものか理解できると思います。

建築主事と建築基準適合判定資格者との違い

民間の確認検査機関の建築基準適合判定資格者は都道府県等の職員ではないため、建築主事ではないということにも注意が必要です。

用途変更で工事を行った場合に工事完了届は、建築主事に提出することになっていますので、民間の確認検査機関では受け取ることができず、特定行政庁に提出することになります。

検査が無く、工事完了届提出のみだと思っていたら、特定行政庁から求められた添付書類がたくさん・・・ということもありえるので、工事着工前に確認しておくことが重要です。

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