改正建築基準法について(用途変更申請必要な面積200m2超他)

6月25日に改正建築基準法が施行

令和元年6月25日に改正建築基準法が施行されます。

建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について

上記リンク先の国土交通省のHPには「最近の大規模火災をめぐる状況や防火関連の技術開発をめぐる状況等を踏まえ、建築物・市街地の安全性の確保、既存建築ストックの活用、木造建築物の整備の推進などの社会的要請等に対応して規制を見直しました。」とあります。
本コラムでは、「建物の法律家」としてどのような点がポイントになるか、解説をしていきたいと思います。「既存建築ストックの活用」については特に用途変更に関わる内容が大きく変更されます。用途変更については確認申請とは?(4)-用途変更の場合の確認申請-も併せてご覧ください。

今回の改正での主な変更点

今回の改正での変更点は大きくまとめると四つに分類できます。

  1. 建築物・市街地の安全性の確保
  2. 既存建築ストックの活用
  3. 木造建築物の整備の推進
  4. その他

いずれも大きな改正ですが、本コラムでは特に「2. 既存建築ストックの活用」にポイントを絞って解説をしていきたいと思います。

「既存ストック活用」についての変更点

この項目については大きく二つ改正点があります。

  1. 延べ面積200m2未満かつ3階建てを他の用途にする場合、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に耐火建築物等とすることを不要とする。
  2. 用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し

それぞれ順番に解説していきます。

1.三階建て200m2以下物件の耐火要件見直し

これまで物販店や飲食店、簡易宿所やシェアハウス(寄宿舎)等の別表第一(い)欄の特殊建築物の用途を3階以上の階に設ける場合には、建物全体を耐火建築物等にする必要がありました。

第一種、第二種住居地域や準住居地域など、住居系用途地域の中でも比較的用途規制の緩い地域では、三階建ての事務所ビルや木造三階建ての住宅等がよく建設されます。これらの地域では防火規制はそれほど厳しく無い場合が多いので、三階建てでも耐火建築物等ではなく、準耐火建築物や、その他建築物となっている場合がよくあります。
耐火建築物等は火災に対しては非常に堅固な構造ですが、倒壊防止性能が求められるため、鉄骨造の場合は柱、梁に耐火被覆を設ける必要があったり、RC造にする必要があるなど、準耐火構造等と比べるとコストが割高になる傾向があります。そのため、上記の様な耐火建築物等にする必要のない建築物は、準耐火構造やその他建築物にすることが多かったのです。
しかし、法改正以前は、三階以上の階に上記の別表第一(い)欄の特殊建築物の用途を設ける場合には耐火建築物にする必要があり、用途変更をする場合の足かせとなっている部分がありました。

今回の法改正で、延べ面積200m2未満かつ3階建て以下の建物については、これらの用途を三階に持ってきても、原則耐火建築物等にしなくても良くなります。また、物販店や飲食店等の就寝用途以外の用途については「在館者が迅速に避難できる措置」は特に不要です。また、共同住宅や簡易宿所、シェアハウス等就寝用途についても必要な措置としては、住宅用の火災報知器と、階段を区画することの二点で充足します。階段の区画についても、防火区画の様な特別な区画は不要で、天井までの石膏ボードの壁と木製建具での区画で良いこととされています。

2.用途変更の確認申請が必要となる規模の見直し

用途変更の確認申請が必要な規模が100m2から200m2に変更されます。
この改正により、「戸建住宅」のほとんどが、確認申請を提出することなく他の用途、例えば物販店舗や飲食店、簡易宿所やシェアハウス(寄宿舎)に用途変更することができるようになります。

国土交通省の調査によれば、9割以上の戸建て住宅が三階建て以下かつ200m2以下となっており、この法改正によって多くの戸建て住宅が確認申請不要で用途変更できるようになります。

図1:戸建住宅ストック(約2800万戸)の面積分布
出典:国土交通省(平成30年改正建築基準法に関する説明会)資料

この改正により、これまで検査済証未取得により、用途変更の確認申請が出せなかった多くの戸建て住宅が、用途変更をできるようになります。

法改正にあたっての注意点

上記二つの法改正により、小規模な建物の、特殊建築物への用途変更が、ほとんど大きな工事や調査を必要とせず、確認申請も不要で行えるようになります。
ここで注意しなければならないのは、確認申請が不要になったからといって、「何でもあり」という訳ではないことを理解することです。
耐火建築物に対する規制は見直されたものの、用途変更する場合には、用途規制や避難/排煙についての規制は遡及対応が必要です。第一種低層住居専用地域には200m2の店舗は作れませんし、福祉施設を三階に設ける場合には階段が二つ必要になる場合もあります。また、消防法等の関係規定については従前のままですので、用途を変えることによる手続きや、遡及対応が必要になる場合があるので要注意です。

まとめ

以上をまとめると、

・三階建て以下かつ延べ面積200m以下の建築物は、三階に別表第一(い)欄の特殊建築物の用途を設けても、耐火建築物等にする必要がなくなる。
・用途変更の確認申請の必要な規模が100m2→200m2に変更。
・ただし、遡及規定については確認が必要。また建築基準法以外の法令についても良く確認すること。

となります。法改正直後は運用方法について行政窓口が混乱していたり、また条例も整備されていない場合も多いので、安易に自己判断せず、該当の行政に良く確認をしてから工事を進めることが重要です。また、判断に迷う場合は建築再構企画でもご相談に乗れますので、下記からお問合せください。

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建物の法律家/一級建築士 佐久間悠