面積200m2超の用途変更とは?改正建築基準法での変更点も解説

用途変更とは住宅を店舗にする、事務所を保育施設にするといったように、建物の用途を変更する際に必要な手続きです。

用途変更の際に確認申請が必要となる面積がそれまでの100m2超から200m2超となったのは、2019年(令和元年)の建築基準法の改正によるものです。

この記事では、用途変更で確認申請が必要となる場合や注意点について解説しています。また、同時に改正された三階建て200m2未満の建物の耐火要件についてもポイントをまとめています。
※2021.4.3改訂(2019.6.24公開)

用途変更で確認申請が必要となる面積とは

用途変更で確認申請が必要となるのは、特殊建築物の用途となる部分が面積200m2を超える場合です。

建築基準法では建物の用途は防火上や周囲の環境への影響の度合いを考慮して様々な分類があり、ホテルや共同住宅など不特定多数の利用が見込まれる多くの用途は別表第一で定められた特殊建築物に該当します。別表第一(い)欄の特殊建築物への用途変更で面積が200m2を超える場合、確認申請が必要となります。

用途変更で確認申請が必要な規模が100m2超から200m2超となったのは、2019年(令和元年)の建築基準法の改正からです。

例外としてホテル⇔旅館、診療所(入院施設があるもの)⇔児童福祉施設等といった類似の用途間での用途変更では確認申請が不要となる場合があります。用途変更での確認申請について、詳しくは「用途変更の確認申請-確認申請とは?(4)」の記事でまとめていますので、あわせてご覧ください。

用途変更の面積拡大についての注意点。既存遡及への対応

この法改正によって、小規模な建物であれば物販店舗や保育施設といった特殊建築物への用途変更が確認申請不要で行えるようになります。

ここで注意しなければならないのは、確認申請が不要になったからといって、「何でもあり」ではないということです。

後述する耐火建築物に対する規制については見直されたものの、用途変更する場合には、用途規制や避難/排煙についての規制は遡及対応が必要です。第一種低層住居専用地域には200m2の店舗は作れませんし、福祉施設を三階に設ける場合には階段が二つ必要になる場合もあります。

また、消防法などの関係規定については従前のままですので、用途を変えることによる手続きや、遡及対応が必要になる場合があるので要注意です。

既存遡及について、詳しくは「今年(令和元年)施行の法改正で拡大された、用途変更の確認申請不要な建物で見過ごされがちな既存遡及についての考え方について」をご覧ください。

用途変更申請が必要な面積が200m2超となった背景とは

建築基準法の改正により、200m2以下の小規模な建物や物件であれば確認申請を提出することなく、物販店舗や飲食店、保育施設やシェアハウス(寄宿舎)などに用途変更することができるようになりました。

この法改正の背景には既存ストックとなっている建物を活用する目的があります。国土交通省の調査によれば、9割以上の戸建て住宅が200m2未満となっており、この法改正によって多くの戸建て住宅が確認申請不要で用途変更できるようになります。


戸建住宅ストックの面積分布 出典:国土交通省(平成30年改正建築基準法に関する説明会)資料

また、これまでは検査済証未取得のため用途変更の確認申請が出せなかった物件なども、規模によっては用途変更が可能になります。

用途変更に関連するその他の変更点

2019年(令和元年)の建築基準法の改正のうち、既存建物の活用や用途変更に関連するその他のポイントを解説します。

三階建て200m2未満の物件での耐火要件が緩和

建築基準法の改正で、既存建物の活用に大きく影響するもう一つのポイントが、三階建て200m2未満の建物の耐火要件の緩和です。

これまで物販店や飲食店、簡易宿所やシェアハウス(寄宿舎)等の別表第一(い)欄の特殊建築物の用途を3階以上の階に設ける場合には、建物全体を耐火建築物等にする必要がありました。

今回の法改正によって、延べ面積200m2未満かつ3階建て以下の建物については、これらの用途を三階に持ってきても、原則として耐火建築物等にしなくても良くなりました。また、物販店や飲食店等の就寝用途以外の用途については「在館者が迅速に避難できる措置」は特に不要です。

共同住宅や簡易宿所、シェアハウス等就寝用途についても必要な措置としては、住宅用の火災報知器と、階段を区画することの二点で充足します。

階段の区画についても、防火区画の様な特別な区画は不要で、天井までの石膏ボードの壁と木製建具での区画で良いこととされています。

三階建て200m2未満物件の耐火要件見直しの背景とは

第一種、第二種住居地域や準住居地域など、住居系用途地域の中でも比較的用途規制の緩い地域では、三階建ての事務所ビルや木造三階建ての住宅等がよく建設されます。

これらの地域では防火規制はそれほど厳しく無い場合が多いので、三階建てでも耐火建築物等ではなく、準耐火建築物や、その他建築物となっている場合がよくあります。

耐火建築物等は火災に対しては非常に堅固な構造ですが、倒壊防止性能が求められるため、鉄骨造の場合は柱、梁に耐火被覆を設ける必要があったり、RC造にする必要があるなど、準耐火構造等と比べるとコストが割高になる傾向があります。

そのため、上記の様な耐火建築物等にする必要のない建築物は、準耐火構造やその他建築物にすることが多かったのです。

しかし、法改正以前は、三階以上の階に上記の別表第一(い)欄の特殊建築物の用途を設ける場合には耐火建築物にする必要があり、用途変更をする場合の足かせとなっている部分がありました。今回の耐火要件の見直しの背景には、既存建物ストックの活用促進という観点があります。

用途変更に関するサポート事例や解説記事

建物の法律家・建築再構企画では、用途変更をはじめとした適法改修の調査・設計・コンサルティングを得意としています。

これまでに建築再構企画が用途変更をサポートしてきた事例や、用途変更をする上で参考となる記事を紹介いたします。各事例のページでは、用途変更を実現するまでのプロセスや具体的な手続き・手法がまとめられています。

[千代田区の用途変更事例]面積調整で確認申請を不要にし、障害者支援施設への用途変更を実現
確認申請の提出不要で障害者支援施設への用途変更を実現したプロジェクトです。テナント入居した物件の一部について用途や面積を調整することで、用途変更の確認申請が不要な計画としました。

[川崎市の用途変更事例]検査済証未取得に対処し、物販店舗から福祉施設への用途変更を実現
検査済証未取得の物件に対して用途変更の確認申請ができるように適法性調査を行ったプロジェクトです。行政との協議によって適法性を証明し、デイサービス(高齢者用通所介護)への用途変更の確認申請を実現しました。

確認申請とは?(4)-用途変更の場合の確認申請-
確認申請が必要となる用途変更の規模や用途について解説しています。確認申請が不要となる類似の用途についてもまとめています。

今年(令和元年)施行の法改正で拡大された、用途変更の確認申請不要な建物で見過ごされがちな既存遡及についての考え方について
建築基準法の改正によって、用途変更の確認申請が不要となったとしても、既存遡及の必要性を見過ごすと、違反となってしまう場合があることを解説しています。

200m2超の用途変更における確認申請のポイントとは

面積200m2を超える特殊建築物への用途変更では確認申請が必要となります。確認申請が不要な場合でも、消防法などの関係規定への既存遡及が必要な場合もあり、注意が必要です。200m2を超える用途変更について、以下にポイントをまとめました。

  • 200m2を超える別表第一(い)欄の特殊建築物への用途変更では確認申請が必要
  • 用途変更で確認申請が必要となる規模が100m2超から200m2超に拡大されたのは2019年の建築基準法の改正による変更
  • ホテル⇔旅館といった類似の用途間での用途変更では確認申請が不要となる場合がある
  • 確認申請が不要であっても、建築基準法はもちろん消防法などの関係規定への既存遡及や適合が必要な場合があり注意が必要
  • 用途変更に関連するその他の法改正として、200m2未満かつ3階建て以下の建物の耐火要件が緩和された

確認申請の手続きが不要でも、建築法規に適合させる必要があるので、安易に自己判断せず、該当の行政や建築士に良く確認をしてから工事を進めることが重要です。

建物の法律家・建築再構企画は、建築主(ビルオーナーや事業者)向けの無料法律相談や、建築士向けの法規設計サポートを行っています。建物に関わる関連法規の調査に加え、改修や用途変更に必要な手続きを調査することも可能です。詳しくは、サービスメニューと料金のページをご覧ください。

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