※2025.1.15改訂(2013.12.21公開)

知事が認める場合とは?難しくなった役所との協議

建築に関する条例には「知事が認める場合」というのがあります。
例えば東京都安全条例の第十条の三

特殊建築物の敷地は、その用途に供する部分の床面積の合計に応じて、次の表に掲げる長さ以上道路(前条の規定の適用を受ける特殊建築物の敷地にあっては、同条の規定により接しなければならない道路)に接しなければならない。ただし、建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める場合は、この限りでない。

特殊建築物の用途に供する部分の床面積の合計長さ
五百平方メートル以下のもの四メートル
五百平方メートルを超え、千平方メートル以下のもの六メートル
千平方メートルを超え、二千平方メートル以下のもの八メートル
二千平方メートルを超えるもの十メートル

ご存知の方がおられるかもしれませんが、上記は新宿区、下落合で住民から訴えられ、行政側が敗訴したため、建築確認が取り消しとなったマンションの訴訟の、原因となった条文です。
新宿区はこの条文の内容に関して「知事が安全上支障がないと認める場合」にあたるとし、確認を下ろしました。

どういう経緯か詳細は分かりませんが、要は特例措置を認めたのです。それに対して最高裁の判断は特例が認められないとしたのです。

この訴訟のため、この「知事が認める場合」というのが認められにくくなっています。役所の担当者の立場とすれば、特例を認めて訴えられるより、特例を認めずに訴えられた場合のリスクの方が小さい、ということでしょう。

保育所・託児所等設置への障害−代官山の託児所の事例−のようなかなり悪意や迷惑のかかる恐れの少ない内容に関しても、杓子定規に捉えられかねない状況にあると言えます。

法的にグレーな内容で、役所との協議が今後難しくなるかもしれません。

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