建築再構企画は、アール・エフ・エー、フリーランチとの共催で、2021年1月7日(木)にアトリエ設計事務所の経営と働き方をテーマにしたオンラインイベント「経営と働き方から考えるアトリエ事務所の将来像」を開催しました。
本セミナーでは、アール・エフ・エーの藤村龍至さん、フリーランチの納見健悟さんとともに、建築再構企画代表の佐久間が登壇し、設計事務所の経営と働き方への取り組みをご紹介させていただきました。
セミナーの様子
次に納見さんから「設計事務所の経営と働き方、改善事例」という形で設計業界出身の出自を活かした人材紹介、マーケティングを行う自社の業務内容や、それらの事例の紹介がありました。その中で建築再構企画の経営課題への取り組み方や会社運営のあり方についても少しご紹介を頂きました。
佐久間の方からは建築再構企画の事業のあり方を考える中で、法人化や採用の節目となるタイミングで自社の事業のあり方を見直し方をご紹介し、仕事の規模や種類が変わっていく中で組織としての作り方を検討していく過程をご紹介しました。
三番目の事例として、藤村さんの方からRFAのかっちりした組織の作り方を意識しての会社づくりの紹介と共に、三者の状況を俯瞰し、下記の様な四つのステージが考えられるのではないかという仮説が提示されました。
・ステージ1:(労働法令上)合法的な状態を維持する
・ステージ2:労使がフェアな関係を維持する
・ステージ3:成長し学べる環境を維持する
・ステージ4:生産性と外部評価のバランスを維持する
そして、登壇者三者のような2021年代時点で40代を迎えたようなアトリエ事務所で、受注者の幅や組織を拡大している事務所は、マネジメントに取り組み、上記のステージを1歩ずつ上げてきた事務所であると言えるのではないかという提言がありました。
その中で、ブラックと言われる会社はスタッフの立場ではステージ1=労働基準法を満たすだけでなく、このステージ2と3の間を感じられる=公平性と成長機会を感じられるということではないか?という意見も藤村さんからありました。
ただ、事務所開業してすぐのアトリエ事務所と、10年経った事務所では状況も大きく変わってくるので、これから就職活動を迎える学生の聴講者には一時情報を自分から取りに行く努力が必要であろうという意見が述べられました。
セミナー後、弊社社員との話し合いの中で、建築再構企画で働くメリットとしては、プロジェクト全体のマネジメントを、組織作りや施工方法も含めて検討するので、意匠設計はもちろん、構造設計、設備設計についてのある程度の知識や、施工についての知識も網羅的に得られる環境で、その点は成長できるのではないか?という意見がありました。
弊社としても、さらなる上のステージを目指し、環境を整えていくよう頑張っていきたいと思います。
開催概要
イベントタイトル
「経営と働き方から考えるアトリエ事務所の将来像」
テーマ
アトリエ設計事務所はほんとうに「ブラック」なのでしょうか。本セミナーでは設計事務所のなかでもアトリエ設計事務所のあり方について経営と働き方の両面から考えることで建築設計業界の課題を共有し経営者の皆さんにとっても、学生の皆さんにとっても、当事者意識を持ってそのあり方について考える機会をつくりたいと思います。
内容
- 概論:納見「設計事務所の経営と働き方」 20分
- 報告1:佐久間「建築再構企画の考える経営と働き方」 20分
- 報告2:藤村「RFAの考える経営と働き方」 20分
- 討議:「建築設計業界の課題を考える」60分
開催日時
2021年1月7日(木)19:00~21:00
主催
登壇者プロフィール
藤村龍至
東京藝術大学美術学部建築科准教授/RFA主宰
建築家。1976年東京生まれ。2008年東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年より藤村龍至建築設計事務所(現RFA)主宰。2010年より東洋大学専任講師。2016年より東京藝術大学准教授。2017年よりアーバンデザインセンター大宮(UDCO)副センター長/ディレクター、鳩山町コミュニティ・マルシェ総合ディレクター。住宅、集合住宅、公共施設などの設計を手がけるほか、公共施設の老朽化と財政問題を背景とした住民参加型のシティマネジメントや、ニュータウンの活性化、中心市街地再開発などのデザインコーディネーターとして公共プロジェクトにも数多く携わる。主な著書に『ちのかたち—建築的思考のプロトタイプとその応用』(2018),『批判的工学主義の建築』(2014),『プロトタイピング—模型とつぶやき』(2014)。
納見健悟
株式会社フリーランチ 代表取締役
1977年、埼玉県生まれ。神戸大学工学部建設学科卒業。組織設計事務所のINA新建築研究所入社後、ゼネコン系のコンサルティング(コンストラクションマネジメント)会社を経験。2010年、神戸大学にて社会人大学院生になり、在学中に建築学会や日経アークテクチュア、彰国社など専門誌の編集・ライターを務める。2013年よりPM/CM会社大手山下PMCに複業で参画、広報部門の立ち上げ、マーケティング戦略の推進を担う(2017年4月まで在任)。2014年9月に建築業界に特化した「働き方とマーケティングの会社」として事業化し、株式会社フリーランチを設立、代表取締役を務める。主な資格に一級建築士、日本CM協会認定コンストラクションマネジャー。2019年、第5回「これからの建築士賞」受賞。
佐久間悠
建築再構企画代表
1977年、神戸市生まれ。京都工芸繊維大学大学院造形工学専攻修了。古市徹雄都市建築研究所、商業施設の設計を得意とする TY アーキテクツ勤務を経て、2007年に佐久間悠建築設計事務所を開設。2013年より株式会社建築再構企画に改組・改称。同社の代表取締役を務める。新築及び内装デザインの設計・監理の経験を活かして、「建物の法律家」として、違法建築、既存不適格の適法改修に高い専門性を有する。個人住宅から上場企業の保有施設まで、幅広いクライアントに対して、サービスを展開している。2016年、第2回「これからの建築士賞」受賞。主な著書に「事例と図でわかる 建物改修・活用のための建築法規 適法化・用途変更・リノベーションの手引き」(学芸出版社)。