構造耐力上主要な部分とは、建築物にかかる荷重と外力を支える部分です。具体的には、基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組み、土台、筋かいや火打材などの斜材、床版、屋根版、梁やけたなどの横架材を指します。

この記事では構造耐力上主要な部分について、建築基準法での定義や主要構造部との違い、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)や地震保険に関する法律(地震保険法)での取り扱いについて解説しています。また、建築主については、「建築主とは?」にて建築基準法上の定義などを解説しています。あわせてご覧ください。
※2021.6.2改訂(2013.10.28公開)

構造耐力上主要な部分の建築基準法での定義

建物を自重や荷重、地震などの外力から支えている、建物の「構造」上重要な部分は建築基準法では「構造耐力上主要な部分」という言葉で定義されています。用語の定義は建築基準法施行令第一条第1項三号に規定されています。

構造耐力上主要な部分
基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他こ れらに類するものをいう。)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。

建築基準法では「構造」に関しては、第二十条で規模や用途等によって構造計算の仕方あるいは構造計算を必要としない軽微な建物の記述基準を定めるのにとどまり、施行令第三章において「構造強度」という章立てをして、詳細に規定しています。

その構造強度の章の内容には、リンク先を見てもらえれば分かると思いますが、「構造耐力上主要な部分」という言葉が頻出します。つまり、「構造耐力上主要な部分」とは、構造強度に関する規定の要の部分なのです。

構造耐力上主要な部分と主要構造部の違い

構造耐力上主要な部分と混同しやすいのですが、建築基準法第二条の五では「主要構造部」という用語も定義されています。

法令上の定義を要約すると、主要構造部とは、壁、柱、床、はり、屋根、階段を指します。構造強度に関連している「構造耐力上主要な部分」とは異なり、「主要構造部」は防火や安全、衛生に関する規定で用いられることが多い用語です。

主要構造部の建築基準法における実際の定義や、構造耐力上主要な部分との違いについてのより詳細な解説は「主要構造部とは?」にまとめています。あわせてご覧ください。

品確法や地震保険法での構造耐力上主要な部分の扱い

住宅の性能の表示基準を定め、新築住宅の瑕疵担保などについて定めている住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では10年瑕疵担保保証しなければならない部分として、「雨水の浸入を防止する部分」とこの「構造耐力上主要な部分」の二ヶ所のみ挙げており、いかに重要な部分として捉えれているかが分かるかと思います。

また、地震保険の定義や地震保険審査会の設置などについて定める地震保険に関する法律(地震保険法)では、この「構造耐力上主要な部分」の損害額を査定しててん補される保険金額を定めています。

しかし、ここで注意しなければならないのは地震保険に関する法律では、「構造耐力上主要な部分」という意味の言葉として「主要構造部」という用語を法文の中で使っていることです。経済産業省や、日本損害保険協会に確認したことなので間違いないですが、紛らわしいので注意が必要です。

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