排煙上有効な窓と自然排煙設備は違うもの

排煙に関する規定は分かりにくいし、設計者でも誤解している人が多いので、再度整理しようと思います。

排煙に関する規定は建築基準法施行令、百二十六条の二

1.特殊建築物で延面積が500㎡を超える建築物
2.階数が三以上で延面積が500㎡を超える建築物
3.排煙上有効な開口部の面積の合計が床面積の1/50未満の居室
4.延面積1000㎡の建築物の200㎡を超える居室

以上です。

ここで間違いやすいのは、3の内容(これは施行令百十六条の二「窓その他の開口部を有しない居室」の居室の規定になるのですが)で必要となる「排煙上有効な開口部」として必要な要件と、排煙設備が必要な建物で自然排煙を選択した場合に必要な要件が同じ「床面積の1/50」であり、天井から下方80cm以内という制限も同じであることです。

そのため、百十六条の二の規定の内容を確認することと、百二十六条の二の排煙設備の規定の確認を行うことを混同してしまうことがあります。(偉そうに書いていますが、実際自分も実務で計算をしている時などは忘れていることはしょっちゅうです。役所の担当者ですら勘違いしていることがよくあります。)

正しくはまず、住宅や小規模な建物などは百十六条の二の規定をクリアし、百二十六条の二の上記の1~4に該当しなければ、「排煙設備」の設置は不要です。

つまり、開放装置の位置の規定や、防煙区画の規定、垂壁の仕様の規定などは、「排煙設備」に対する規定なので、百十六条の二の規定には、考慮しなくて良いということです。(も ちろん設計者の責任としては最低限の安全性等の確認はするべきでしょうが。)

住宅も大規模建物も両方設計する人はついつい忘れてしまいがちな内容ですので、確認してください。

建物の法律家・建築再構企画は、建築主(ビルオーナーや事業者)向けの無料法律相談や、建築士向けの法規設計サポートを行っています。建物に関わる関連法規の調査に加え、改修や用途変更に必要な手続きを調査することも可能です。詳しくは、サービスメニューと料金のページをご覧ください。